2021年8月31日火曜日

覚えていた夢

いつの頃だったか、きっともう20年以上前のお話。

何かで読んだんだか観たんだかで、夢日記をつけていた時期があった。

枕元にノートとペンを置いて、起きたらすぐに夢を書き留める。忘れないうちに。

起きてから牛のように夢を反芻しているだけだと、どっかのタイミングで忘れたり、記憶を書き換えたりしてしまっていた。

それがほぼ無くなった。なんというか…… 昔のことを思い出すように、鮮明にたどれるのだ。

その夢日記もいつかつけなくなっていた。


先日、ふとその頃の夢の一つを思い出した。

登場する場所ひとつが浮かぶと…… 乗り込んだガラス張りのカットのエレベーター、地下の水場、駐車場に繋がる非常用階段……

ズルズルと芋づる式に風景が浮かぶ。

すると、別の夢の景色も思い出す。これまた芋づる式に。

水が溢れた中を腰までつかり野球選手と進んでいるところ、小さな日当たりの悪いアパートに作り付けで置いてある洗濯機、山肌に並ぶ市場と旗のようなきれいな布、通路は土のままアーケードのある薄暗い商店街……

あの頃、日記につけた夢の風景はまるで体験した現実のように覚えていた。


なんで日記をつけなくなったのか。たぶん、2つ分の世界を覚えているのがたいへんになったからかな。いや、2つ分だけとは限らない。夢の数だけあるのかな。頭が休む暇が無くなったからかな。

でももう一度つけてみようかな。そしたら、あの続きがみられるかな。

ちょっと迷っている日記のお話。